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冬のお話●『氷の花たば』
★これは『グレイ・ラビットのおはなし』で知られるアリソン・アトリーが
 1948年にイギリスで発表した短篇集、
 『John Barleycorn: Twelve Tales of Fairy and Magic』の中から
 翻訳された6篇の物語からなる作品集です。
 「Fairy and Magic」と題されているとおり、
 6篇の作品はどれも、自然の生み出す不思議な力と、
 そこに生きるものたちのもつ生命の力が出会い、
 そして奇跡を生み出す物語です。


氷の花たば
氷の花たば
アリソン アトリー, Alison Uttley, 石井 桃子, 中川 李枝子

 6つの物語の中でも特に表題作「氷の花たば」は、妖しい魅力に満ちた不思議なお話です。
吹雪の夜に道に迷った男が、霜の精に命を救われ、命を助けてくれたお礼をしたいと申し出ます。

 すると霜の精は、男の家の「炉端の石の上においてあるバスケットにはいっているものを、何であれ、わたしにくれ。」と言います。
男はたいしたものははいっていないと思い、あげますよ、と約束します。
ところが無事に家に帰って男がバスケットの中に見たものは、赤んぼうの娘、ローズでした。

 このように、この物語は、闇とあらしの冬の夜、不幸の香りが漂う約束で始まります。
そして、やがてローズは美しく成長し、迎えに来た霜の精と結婚し、父母の元を去って氷の世界へ行ってしまうのです。

 こう書くと悲しい物語のように思われるかもしれませんが、その結末を語る筆致には、物語の始まりで示されたような抗いがたい不幸な宿命感は感じられません。
物語の終わりは、父母が金持ちになったとか、霜の精と結婚してこの世の栄華を極めたとか、そんな昔話によくある大団円のハッピーエンドではなく、ただ、「ふたりは、そこにある霜の王の城で、永遠の命をもつふたりの者が望めるかぎりの、しあわせの日をすごしたのでした」とあるだけです。

 そう、ローズ自身がすでに「Fairy and Magic」の世界に生きるように運命付けられていたのです。
彼女は生まれながらにして冬と霜の世界を心から愛す娘であり、ごく自然に霜の王の妻となり、父母と別れ、霜の世界に行ってしまいます。
そして普通の嫁いだ娘と同じように、冬の夜、「かわいらしい白い幻のような小さな子どもたち」を連れてときどき里帰りして父母に会い、父母のほうは、「この人たちの思い出にひたって生きる」のです。

 この物語で描かれているのは、私たちが普通に考えるこの世の幸せ──お金や、社会的地位といったような──ではなく、自らの内なる摂理に従って生きる幸せです。
そしてそれは幸福というにはあまりに自然で静かな生なのです。


 この物語はたしかに不思議な物語であり、現実にはありえないようなことが描かれているのですが、現実離れしたおとぎ話、という印象はありません。
それは物語の根底に、<自然>とそこで育まれる人間に対する確固とした肯定感があるからではないでしょうか。

 それはこの短編集に収められた他の作品からもうかがえます。
例えば「木こりの娘」というお話も、豊かな自然に育まれた美しい娘が、不思議な出会いを経て結婚して幸せになるという、表題作とよく似たパターンのお話です。

 この娘もまた、自然と深く結びつき、自然の声をまっすぐに受け止めたのでした。
娘は炎の中から現れて彼女に求愛する金色グマを恐れることなく受け入れます。

 また「麦の子 ジョン・バーリコーン」で描かれたジョン・バーリコーンという子どもは、おばあさんがひろった金の卵から生まれた「麦が育つようにめんどうを見、刈上げ祭のお正客になる」実り豊かな自然の申し子です。
また「メリー・ゴー・ラウンド」や「妖精の船」では、小さな子どもたちのもつ純粋な願いが、自然の精霊によってかなえられる夢のようなお話です。

 しかし大人にとってはまさに夢のようでありえないことでも、自然の姿をありのままに見、その生命力の奥深さを直感的に知っている子どもたちにとって、それは奇跡というより正当な必然なのでしょう。
私たち大人も、もう一度、その豊かな懐に触れてみたい、と思わせてくれるお話です。

 自然というものは、たしかに時には人間の営みも生命さえも危機に陥れることがあるのは事実です。
しかし自然のもつ本来的な姿は生命を生み出し育む力であり、人間もまたその一部として、内なる生命力に従って生きていく存在であるはずです。

 この短編集に収められた作品は、はかりしれない超常的な力をもつ自然のなかで、それを畏れながらもそれによって生かされる人間の姿を、共感をもって描いています。
それは教訓、というよりも、摂理というべきものなのかもしれません。
そしてそんな自然がもたらしてくれる恵みを近しく感じるのは、多くの場合、自然の身近で生きる年若い子どもたちです。

 「おとなになると、もう、ほんとには信じなくなるもの。」──メリー・ゴー・ラウンドの木馬に乗って草原を走ったマイケルはこうつぶやきます。
自然と人間のあるべき姿を教えてくれるのは、いつも、その真実の力を知り、それを信じている子どもたちなのだということを、この短篇集は教えてくれているようです。
| 子どもの本(外国のお話) | 11:29 | comments(0) | trackbacks(0) |
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